フラッグジャーナル Vol.6

責任の矛先と保身と延命

 プロ化初年度。
 まだまだ手探りの状況の中、多くの人々がこのフラッグの荒野に飛び込み、そして多くの人々が切捨てられていった。
 各チームで選手の入れ替えが激しく行われていた1年。
 その矛先は選手だけではなく、監督をはじめとするコーチ陣にも向けられるべきものであろう。
 事実、前後期の優勝を果たしたセイルズのパット監督でさえ、アルテナントシリーズでの敗退と、ミラ・オスタラを巡る"15000Gの女"騒動の責任から辞任一歩手前まで追い込まれたほどだ。
 しかし中にはその矛先を、すべて選手に向けて己の保身を図った監督もいた。
 それがビューティビーストのミルリアーニ監督だ。
 前後期ともに最下位という大不振は、主に監督のチーム育成方針の迷走が原因である事は多くのファンが語るところ。
 しかし彼は解任の噂が立ち始めると、たくみに責任の矛先を選手に向け、生き残りを図ってきた。
 前期最下位がきまった時は、マザー選手をボンバーズに放出。
 これまでチームを支えてきたスター選手を、ボンバーズでベンチ入りすらしない無名の新人と入れ替えるという衝撃のトレードを敢行し、話題のすり替えを成功させてしまった。
 さらには監督との確執が噂されていたナイトレディ選手を、誰の目にもわかる明らかな飼い殺しでシーズン終了までベンチ外に押しやると、
「彼女がまったく期待はずれであったことが、今季の不振の原因」
と、まったく的はずれな責任転嫁を行い、そのまま解雇してしまった。
 ただの旅行好きで、諸国漫遊の理由付けのためだけにチームを持っているとも噂されるアムラップのランディール帝王は、このミルリアーニ監督の言葉を鵜呑みにしてしまい、来季も続投を決定。
 これにはファンも呆れ顔だが、ミルリアーニだけはその顔に暗い笑顔をのぞかせている。
 来季。
 延命を成功させた監督の振るうタクトが、ファンを納得させる采配協奏曲となるのか、それともまた芸術的な保身狂奏曲となるのか。
 ファンと選手は、次の開幕を不安と期待をない交ぜにして、待っているのである。

超大型ドラフトの超大型新人

 30名もの候補があがった来季の超大型ドラフト。
 その中でも特に注目を集める超大型新人は、この2選手だ。
 ひとりめはサラゴサ選手。
 翼を持つ選手の有効性は、06年のシーズンを通して完全に証明されたが、まさに来季の新たな翼となる可能性を秘めた選手だ。
 空を飛ぶだけでなく、走らせても高い機動性を誇り、フラッグを得た後も心強い。
 さらにはその見る者を震え上がらせる強力な牙は、恐ろしいほどの攻撃力を秘めている。
 つまりスピードが重要視されるパスゲームでも、攻撃力が命運をわけるパワーゲームでも、どちらでも高いレベルで対応できる万能選手なのだ。
 もし彼が加入したならば、そのチームが心配することは彼のコンディションの事だけになるだろう。
 彼はあらゆる戦術でも対応し、キーマンとなれる素材である。
 もうひとりの有望新人は、彼とは対極のパワーゲーム一辺倒の選手。だがその突出した能力は、過去のどの選手をもってしても敵わないかも知れないポテンシャルを秘めている。
 その選手とはペイ=バス選手。
 シグラッド出身の彼は、その身を鋼鉄で包み込んだスチームゴーレムだ。
 恐ろしいまでの攻撃力と、鎧による高い防御力。これをKOで沈めることは容易ではなく、また逆に彼にKOされないことも容易ではない。
 バス選手を前面に押し出し、真正面からパワーゲームを挑んだならば、その威力はどのようなチームをも打ち砕く強大な鉄槌となるであろう。
 地元のスコーピオンズ、またはパワーゲームの得意なボンバーズが入札を目論んでいるとの声が高いが、どのチームでもひとりは欲しい強力な切り札である。
 この有望な新人が、プロの荒波の中で一流に育っていけるのか、入団前のいまから注目されている。


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