最奥の釣り場で

ここに着くまでも釣りまくり

 あの半透明のドームの中に、かつて龍が眠っていた訳ですか。
 眠りし龍の寺院。
 かつてスリーパーと呼ばれたドラゴンが眠っていた場所。
 その最奥で私は竿を取り出しました。
 芯まで冷え込むようなこの水底に、魚たちがいるのです。
 私の投げ込む釣り餌を待つ、魚たちが。
 「ノーラスのあらゆる危険地帯で釣りを楽しむ」
 それをライフワークとする私が、右手のEpicを自慢の釣り竿に持ち替えるのは必然でした。
 しかし私のような一介の釣り師が、こんな場所までたどり着き、そして竿をふることができるなんて。
 しみじみ感慨深いですなぁ。
 故郷の港で手に取った、一本の釣り竿から始まって幾星霜。
 ついにここまで。
 そしてまだまだ。
 私はこの先も、竿を片手にノーラスを。
 いつまでも。
 どこまでも。
 竿の折れるその時まで。
 たとえ世界が変わっても。


<了>