ドアが開いた瞬間、私は視線を走らせ空間へと泳ぐ。
通勤電車。座席前の吊革。
どいつだ。次に降りる客は。
早足で数歩進めるだけの刹那、私の灰色の脳細胞は座る人物達を吟味し、適切な位置に自らの身体を納める。
・・・こいつさえ降りれば、会社まで寝られる。
牙を剥く心を無表情で覆い隠し、私は今日も静かに吊革を掴んだ。
少しでも睡眠時間を稼ぐため、朝の通勤電車では座席前に陣取るようにしています。
上手い具合に人が降りてくれれば、座って居眠りできますからね。
しかし最近、どうも人を見る目がない。
先週は3人分の空間があいていてイチバン早く降りそうな人を選んだつもりだったのに、けっきょく最後まで降りず。その次の日は6人座席のうち4人が降りてダメ。さらに先日は6人中5人が降りたのに、私の前の人だけ座りっぱなしでしたよ。
打率が低いですな。
前は早めの駅で降りる特徴的な人がいたので、狙っていたんですけどね〜。
最近、見かけないからな〜。
もうちょっと人を見る目を磨くか、人の顔を覚えるかして、打率を上げないとですな。