懐かしのアノひと

 一周年ってことで、昨日は結成場所にひとり、月を見に行ってきました。
 感慨深げに空を見上げてたたずんでいると、その横を懐かしいアノひとが。
 結成の日、私は彼にえらい目にあわされたのです。
 あの日。
 我々は人が集まるまで、雑談しながらこの結成場所で待っていました。
 そうすると近くをうろうろするモンスターが、けっこう寄ってくるんですね。
 雑魚なのですが、うっとおしい。
 なんで私は目くらましの魔法とかかけて追っ払ってたんですよ。
 目くらましをかけると、さっきまでこっちに歩いてきていたモンスターが、いきなりすごい勢いであらぬ方向へ。
 で、そうすると集まってる仲間達のどこかにつっこんでいくので、誰かが瞬殺。私はそれを高見の見物と。
 これがなかなか面白い。
 なんで近づくモンスターを見つけると、私はバシバシ魔法を飛ばしてたんですよ。
 そしたら、あの人が出現。
 目くらましで走っていった雑魚が、彼の近くを通ったのでしょう。
 魔法がとけて私の方にやってきた雑魚は、彼を引き連れてきた訳です。
 彼はいわゆるネームド。私から見たら真っ赤っか。超つよ。って言うか私が瞬殺。
 慌てて無敵魔法唱えて逃げましたですよ。
 やっぱりファーストコンタクトで死にかけてましたしね。
 幸いNightmare結成を見届ける友人達なども含めて、こちらの戦力は相当なもの。
 真っ赤っかの彼といえども、数の暴力でぼこぼこに。
 なんで結成の日をちょっと賑わしただけの脇役に過ぎなかった訳なのですが、私は彼のおかげで危なく、めでたい結成の日に死体をさらす寸前だったのです。
 どうも彼の腐りかけた頭には、私の姿は残っていないよう。
 私のことなど目もくれず、どこかに去っていきます。
 私はただ一言「やぁ」と声をかけただけで、彼を見送りました。
 月光に照らされ、すっかり青くなった彼の影を、ただただ見送っていたのでした。


<了>