足止めの魔法が切れた怪物が、私に向かって襲いかかってきました。
すでに虫の息の私。
その私を完全に沈黙させるべく、怒濤の勢いで迫ってくるモンスター。
私はすっくと立ち上がると、静かに呪文の詠唱を始めます。
最後の切り札である、無敵魔法の詠唱が空気を震わせ始めたのでした・・・。
ここはPlane of Valor。
メアーズの4人でキャンプです。
もうすぐ帰るという時間までは、順調すぎるほどのキャンプ。
しかし最後の最後で複数Incした敵に、MTのセシィさん、そしてガンパイさんが命を奪われてしまいました。
私のマナもすでに枯渇し、全身に負った傷のせいで、あと一撃も食らえばブレル様の御許に旅立つことは確実。
ですが、ここで逃げ出す訳にはいきません。
いまやMTとなったキャンティさんのPETをヒールすべく、私は座って瞑想に入りました。
セシィさんとガンパイさんの敵を討つのです。
が、その思いを嘲笑うように、敵が動き出しました。
命がけでパーキングした怪物の一匹が魔力の枷をふりほどき、私に襲いかかってきたのです。
その怒りの形相を視界の端に捉えた私は、神への祈りを捧げ、詠唱を紡ぎ出しました。
クレリック究極の奥義とも言える、無敵魔法を唱え始めたのです。
「我は無敵なり!」
そしてその叫びの残響だけが、PoKで目覚めた私の耳に届くのでした。
命からがら逃げ出したキャンティさんは、「しかし・・・」とため息をつきつつ呟きます。
「タルさんの無敵魔法が間に合ったのを見たことがない・・・」
・・・泣けます。(ToT)
<了>