フラッグジャーナル Vol.4

紆余曲折のリーグ開幕

 ついにリーグ開幕となった06年。しかしその道のりは、決して平坦なものではなかった。
 当初、リーグへの参加を表明していたのはアムラップ、シグラッド、ウィルディンの三都市国家を代表するチームであった。
 しかしルール統合問題などの確執からシグラッド、ウィルディンが06年のリーグ参戦見送りを表明。一時はリーグ構想そのものを揺るがす、大騒ぎとなった。
 けっきょく紆余曲折を経て、初年度の参加チームはアムラップ、ボナムポート、グラップの三都市国家に決定。だがいまだ07年もこのままで運営されるかは決定されておらず、シグラッド、ウィルディンの両都市を含む全チームが様子をうかがっている状況だ。
 「しばらくはこの5都市国家フランチャイズに持つチームから、数チームが参加してリーグを運営する形態となるだろう」
 そう語る初代コミッショナーランディス氏。数々の問題をクリアしていき、リーグ開幕にこぎ着けた彼であるが、まだまだその苦悩は続きそうである。

15000Gの女・その名はミラ

 ボナムポート・セイルズは、初年度のドラフトで獲得した2選手の入団を発表すると共に、解雇する選手もひそかに公表した。
 その中にミラ・オスタラ選手の名前があったこと。
 それが世間を揺るがす復活劇の始まりであった。
 前期戦、セ軍はそのスピード感溢れる試合運びで連戦連勝。その試合の中心を担っていたのは、空を飛ぶ能力を持つ選手達だった。
 パスゲームを得意とするセ軍であるが、そのパスの中継を行うため、スピードのあるフライングプレイヤー達が必要だったのである。
 パスプレイヤー獲得のため、翼を持つミラの解雇を決定したセ軍だが、それを他のチームが見逃す訳がない。
 セ軍の快進撃もあって、翼持つ者達への評価が高くなっていたサマークラシック期間中のエクスパンションドラフト。
 そこに現れたミラに、解雇したセ軍を含めた全チームが注目。ついにはその契約金に15000Gという破格の値段がつき、グラップ・ボンバーズでの復帰が決定したのであった。
 そして復活劇はこれだけでは終わらない。
 運命のアルテナントシリーズ。
 この歴史に残るファーストシリーズにおいて、ミラは古巣との対決を果たした。
 アルテナント中の、すべてのファンが見守る最高の舞台。
 ここで期待通りの活躍を見せたミラのプレイもあって、ついにボ軍はセ軍の撃破に成功。彼女の翼は、ボ軍にシリーズ制覇の栄冠をもたらし、自らの復活劇に最高の幕引きを与えたのであった。
 優勝フラッグを持ち、ファンの声援に応えるミラ。
 彼女の翼と笑顔は、金貨15000枚分の輝きに満ちあふれていた。

アムラップに咲く血染めの絨毯

 チームを有する各都市国家では、自らの都市を代表するホームフィールドの建設がラッシュを迎えている。
 残念ながら06年には間に合わなかったが、来シーズン以降のお披露目に向け、工事は急ピッチに進んでいる様子だ。
 ここアムラップでも、ランディール帝王の趣味が、そのまま反映されたフィールドを建設中。
 いまそのフィールドが、選手達に波紋を呼んでいる。
 なんとフィールドのライン内には、深紅に染まる絨毯。
 いや、絨毯ではない。この赤色の正体は、アムラップローズという、この地方特有のバラの花だ。
 地面を這うように密生するこのバラは、踏み荒らされても散ることのない丈夫さと美しさが特徴。このアムラップでは、庭園を飾るのに欠かせない花となっている。
 しかしそれが問題。その真っ赤な絨毯に、選手達は暗い顔を隠せないのだ。
 それもそのはず。
 このバラは飾りとしての意味以外にも、防犯の意味合いも持つ花であるからだ。
 丈夫な花弁と共に、さらに丈夫なトゲを持つアムラップローズは、庭園への侵入者を拒む血染めの絨毯なのである。
 「美しい。それで何の問題があるというのだ」
と語る帝王・ランディールの言葉に逆らえる人間は、このアムラップにはいない。
 コミッショナーも「特別製の靴を履かせるなど、選手達の健康は考慮する」と言うしかなく、選手と同様に暗い顔を隠すことができなかった。
 このフィールドが使われるようになってからのシーズンが、いまから心配されている。


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