2002年の鉄壁

 家路を急ぐ雨の細道。
 向こうから3人の男女が歩いてきました。
 それぞれ距離をおいて、それぞれの歩む速度で、道の右側、真ん中、左側と別れて。
 バラバラだった3人は、私の方に近づくにつれ、だんだんとその距離を縮めます。
 前後に大きく離れていたはずの3人が、徐々に、徐々に。
 そして私の手前、1メートル。
 彼等は見事なほどのチームワークを見せ、横一列の綺麗な直線を描くのでした。
 
 あぁ、これはフラットスリーだ。
 2002年の鉄壁だ。
 
 私にだけ完璧にコントロールされたディフェンスを見せつけた彼等は、再びそのラインを崩し、何事もなかったかのように駅へと歩いていきました。
 雨の中、妙な体勢で隙間に身体をねじ込ませたサラリーマンを置き去りにして。
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 道で何かとすれ違う時、私が通るときにかぎって、もっとも狭い瞬間ができるのは気のせいでしょうか?*1

*1:被害妄想。