「この『迷宮牧場の決闘』でリーグ戦を行っている団体は、世界広しと言えども、ここDASH!ただひとつ。DASH!一、すなわち世界一でごわす!」
コミッショナーの高らかな世界一宣言から始まったGoGリーグ・ワールドチャンピオンシップは、その宣言に恥じない3名の強者達が集まった。
全10節に及ぶシーズンを通じて安定した強さを示したポイントチャンプ、ほし選手。そのほし選手に最後の最後で初勝利と言う劇的な展開で追いついた、もうひとりのポイントチャンプ、ひるまにうたたね選手。
そして後半戦から怒濤の快進撃を見せ、台風の目となったアベレージチャンプ、モカ選手。
いずれも世界一の名に恥じない実力の持ち主と言っていい漢達である。
そして始まったチャンピオンシップ。
3名でのプレイオフのため、DASH!特別ルールが用いられたこの戦いは、初代王者を決めるに相応しい、信じられないドラマが待っていた。
1名のガンマン、1枚のトークン、そして1枚のクライマックスカード。
このクライマックスカードの中身こそ、勝負の分かれ目。
3人がコミッショナーの指示で一斉にカードをめくると、選手達はもとより、それを目撃したすべての観客からも悲鳴が溢れた。
なんと、ほし選手が手にしたカードはリキッドカード。
酒に溺れた敗者のカードだ。
なんとか初手のモカ選手から放たれた銃撃はかわすものの、残された道はトークンを使ったドラマチックカードしかない。
そして運命の女神は、さらなる悲劇と喜劇を生み出したのである。
めくられたカードは「酒場で物音が」のカード。
酒場に潜むガンマンを、白日の下にさらす恐怖のカードだ。
賢明なる読者諸君はお気づきだろう。酔っぱらいが、どこで飲んだくれるかは自明の理というものなのだから。
ほし選手は多くの悲鳴が交錯する中、自らのカードをオープンした。
運命の女神はこの時、モカ選手に微笑んだのだ。
これを見てほくそ笑んだはずのひるまに選手が、まさかのボーナスショットで撃ち抜かれると言うで悪戯で戯れつつ。
こうして歴史に初代王者の名を刻み、第1回GoGリーグはシーズンの幕を閉じた。
赤い血で染まる激闘の荒野には、戦いの終わった清々しさだけが満ちあふれていた。