年の頃は40代後半〜50代前半。
年季の入った皮ジャンに黒縁の眼鏡。
オールバックに固めた、やや白髪交じりの頭に時折手をやりながら、男は手にした競馬新聞と携帯を交互に見つめ、しきりに赤ペンを走らせている。
左手に提げたデカイ紙袋には、なぜか男物の下着と大量の競馬新聞が詰め込まれており、それが紙袋の口から覗いていた。
堅気ではない。
そんな雰囲気が、男を包んでいる。
そしてその手にある紙袋には、こう大きく記されていた。
日曜日の午後。
西武池袋線の車内は、巨大な違和感に浸食されていた。