おいちゃんとタイマン

 昼飯を食べに職場周辺をウロウロ。
 偶然見つけたお店で、ランチをいただきに扉を開けます。
 「いらっしゃい」
 野太い声で迎えてくれたのは、カウンターに座って新聞を読んでいたおいちゃん。
 どうやら客じゃなくて、この店のマスターのようです。
 つまりお客は私だけ。
 たしかに午前中の仕事が押しちゃって、ちょっと時間はズレていたんですが、まだまだお昼休みタイムのはず。
 「大丈夫だろうか」
と不安になりつつランチをいただきました。
 黙々と食べる私。
 カウンター越しに、私の目の前に立つおいちゃん。
 髭面の目つき鋭いマスターに見つめられながら、タイマンでのランチ。
 すっごい雰囲気おもいんですけど・・・。
 高くもなく安くもなく、うまくもなくまずくもないランチをいただいている間、けっきょくお客はひとりも入ってきませんでした。


 きっとこの店が流行らないのは、あのマスターが怖いせいです。